武者小路実篤の「友情」読破

もうすぐ大学進学が決まるテストが近づいてるのに、読書熱が収まらない。
昨日蒼穹の昴一巻読破。そんで今日は友情。
なかなか興味深い本でした。切なくなりたいのならコレを読みなよ。
まぁこう思う人は少なくないと思うのですが夏目漱石の「こころ」がフラッシュアップしたり。
ただ決定的に違う点といえば「こころ」では最後嫁を取られた「K」(表現として?だがあえて)
は絶望し、自死してしまう。「先生」も人生というものに暗い光が覆ってしまい、まるで抜け殻のような後世を送ることになる。
その点、「友情」は結末は明るい。友情より恋愛を取った大宮(彼は鎌倉でのシーンの波乗りをしている場面で、運命の波を見極めて上手くわたった方が人生の成功者になりうるんだ、ということを野島に言っていた)と、
己の恋焦がれる女を偶像化しすぎるあまりにアプローチすることができなかった野島は、物語の最後に絶望することがなく、清清しい決意を胸に新たな日々に向かっていく、という結末を迎える。
清清しい読後感。また、友情の美しさ、また友情を取り繕うことでいかに心が醜くなっていくかなどがよく書かれていると思った。